
アメリカの心理学者J.P.ギルフォード博士(1897~1987)は、人間の知能を構成する要素を「知能構造モデル」としてモデル化し、
またそれぞれのつながりを「問題解決モデル」として提唱しました。日本の教育学者伏見猛弥教授(1904~1972)は、人間の知能の構成要素とつながりが
分かっているのであれば、そのそれぞれを幼少期から刺激することで知能の発達を促すのではないかと考え、昭和40年に英才教育研究所を設立。
翌41年からギルフォードの知能構造モデルに基づく幼児教育を始められました。
昭和48年生まれのLight Staff代表太田勝久は、4歳から9歳まで知能あそびを経験しています。知能あそびとは、知能構造モデル、問題解決モデルの観点から
それぞれの年齢にふさわしいあそびを系統的に配置した、科学的なカリキュラムです。子どもたちにとっては楽しいあそび、しかしその奥には長年の研究に
裏付けされた理論とノウハウが含まれているのです。
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「9歳のカベ」という言葉をご存じでしょうか?「10歳のカベ」といわれることもあります。
これは、小学3~4年生あたりから、急に学校の勉強が理解できなくなってしまう現象を指します。 しかしこれは「急に理解できなくなる」のではなく、そのあたりから本格的な思考力が必要な単元が増えて来るのに、 それに対応できるだけの脳の構造が育っていなかったことを表しているのです。
3年生で差が出る典型的な課題はこのようなものです。
A: 40cmのひもから6cmのひもは何本とれるでしょう?
B: 40個の荷物を6個ずつ運ぶと何回で運べるでしょう?
どちらも計算式は 40÷6=6・・・4 そして答は「A:6本」「B:7回」です。
このような課題に難なく対応できるお子さんと、解説をしてもAとBの違いを理解できないお子さんがいらっしゃるのです。
これは、1・2年生の間に「計算ができる」=「算数ができる」と安心して、論理的な思考力を養ってこなかったことに原因があります。
このような文章題の他に、立体図形の分野でも4年生あたりから差が目立ち始めます。
算数だけではなく、例えば国語でも、このあたりから抽象性の高い文章の読解力に差がつき始めます。自分と違う性別の主人公や、 全く違う境遇におかれた主人公の物語などや、全く自分が経験したことのないことに関する説明文などです。 また理科や社会でも、天体の動きなど実際に目で見ることのできない事象の理解や、自分の住んでいる時代や地域以外の理解の際に差が出てくるのです。
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では9歳のカベにぶつかった段階で、元に戻ってその部分の脳の使い方を後から修得することはできないのでしょうか? 残念ながら答は「ノー」です。そのカギは「髄鞘化現象」にあります。
脳が刺激を受けると、刺激を受けた脳細胞の間でネットワークができてきます。連絡が密になったネットワーク(下)では、 信号の伝達速度が速いだけではなく、一つのルートがダメでも別のルートで目的地に信号を送ることができるようになります。 そして、9~10歳の時期に、それまでむき出しだった神経の配線が膜で覆われて固定化されます。それ以降は新しい配線は作られないため、 それまでに万遍なく様々な刺激を与えておくことが大切になるのです。
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知能あそびでは、知能を構成する要素を万遍なく刺激することによって、オールラウンドな力を育てることができます。
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夏の全国高校野球では、49代表がトーナメント戦を行います。
この時、甲子園球場で行われる総試合数は何試合でしょうか?
この問題には、大きく分けて3つの解き方があります。
1:トーナメント表を実際に書いてみる
2:1回戦は24試合、2回戦は12試合・・と計算して行く
3:49-1=48 答48試合
正解は48試合です。
2の解き方の場合、不戦勝チームの扱いを間違えると、47試合という誤答になることがあります。
3の解き方は、「1試合行われるごとに1つのチームが甲子園を去って行く。優勝チーム以外のチームが全部負けた時に終了だから、48試合」ということです。
1の解き方を「図形的な」解き方、2の解き方を「記号的な」解き方、3の解き方を「概念的な」解き方、と言ってそれぞれ脳の別の領域を使っています。
昔からの伝統的な遊びで言えば、「折り紙」は「図形的な考え」、「しりとり」は「記号的な考え」、「なぞなぞ」は「概念的な考え」を発達させます。
子どもの頃から領域の偏りなく刺激を与えることで、1~3のどの解き方も使いこなせるようになるのです。
知能あそびでは、様々な領域の刺激ができるように教材が配列されています。
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(えんぴつ)のお友だちは(消しゴム)ですか?
それとも(ペン)ですか?
この問題にはどう答えられますか?(消しゴム)を選ばれた方には、もう一つ質問します。

(イス)と、(ベンチ)はお友だちですね?
では、(えんぴつ)のお友だちは(消しゴム)ですか?
それとも(ペン)ですか?
なんだか(ペン)を選びたくなったのではないでしょうか?逆に(ペン)を選ばれた方には、こんな質問をします。
(イス)と(机)はお友だちですね?
では、(えんぴつ)のお友だちは(消しゴム)ですか?
それとも(ペン)ですか?
答が(消しゴム)に変わったのではないかと思います。
Aの質問は、物事の「分類」に注目しています。
Bの質問は、物事の「関係」に注目しています。
このような考えの性質には6種類あり、またその中に発達の段階が「単位」→「分類・関係・体系」→「転換・見通し」の3段階があります。
いつも同じ性質に注目して物事をみるのではなく、様々な視点から見る刺激が与えられるように、 知能あそびの教材は配列されています。
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認知: 理解する力
記憶の貯蔵庫: 過去の経験
拡散思考: アイデアを産み出す力
集中思考: 矛盾のない一つの結論を導き出す力
評価: 判断する力
これは情報が入力されてから出力されるまでの人間の知能のはたらきの相関を示しています。
例えば自家用車を持っていない人が朝会社に行かなければならないのに、事故で電車が停まっているというニュースが流れてきたとしましょう。
これが「注意力のフィルター」を通らなければ、何も起きません。「注意力のフィルター」を通った時から、思考活動が始まります。
下の「記憶の貯蔵庫」と相談(評価)をして、現在の状況を理解するのが「認知」の働きです。
「認知」のはたらきが正確でないと、過った状況理解をしてしまいます。
次に、「これからどうするか?」を考えるのが「拡散思考」です。
「タクシーで行く」「誰かに車で送ってもらう」。まずはそう考えるでしょう。
その次に発想がふくらめば、「今日は欠勤して、今日するはずだった仕事は電話で誰かに頼む」「出勤するのはあきらめて、会議にテレビ電話で出席する」
などという考え方もありえるでしょう。はたまた、「ちょうど前から会社を辞めたかったので、これを機会に会社を辞めてしまう」などという考えも
ありえなくはありません。
この時、アイデアのチェックをしているのが「評価」です。例えば「歩いて行く」というアイデアに対して「それでは朝の会議に間に合わない」などの
「評価」をします。逆に、評価が必要以上に厳しすぎると、本当はOKであったはずのアイデアを没にしてしまうこともあり得ます。
そして、最後に「集中思考」を行います。
今までに出た条件を全て組み合わせて、矛盾のないように一つの結論を導き出す力です。ここでも「評価」能力が重要になります。
これらのはたらきを別々に鍛えるカリキュラムが知能あそびには組まれています。
例えるならば、野球の練習をする時にやみくもに実戦練習ばかりやっても上達せず、「走り込み」「筋トレ」「キャッチボール」「素振り」。
さらに言えば「直球ばかり打つ練習」「カーブばかり打つ練習」などの要素に分けてバランスよく練習した方が全体としての上達度合が高くなるのと
同じことです。
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普通、学習において不得意な分野があればどうするでしょうか?
その練習問題を徹底的にたくさんこなしますよね?
しかし、幼児の知能あそびにおいて苦手な課題を練習のためにたくさん与えたのでは、その分野そのものを嫌いになってしまいます。
そうではなく、「脳の構造的に不得意分野のすぐ近くにある得意分野」をたくさん刺激することによって、知らない間に不得意だった部分の脳細胞も
活性化されて来る。それを、「知能の転移」と呼びます。
具体例でみてみましょう。
課題A: この9つのアルファベットを、形に注目して3つずつ3グループに分けてください
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どうでしょう?いろいろな分け方が考えられますね。例えば「CとOとS」は曲線だけでできている、などです。 しかし1グループだけできてもダメで、3つずつ3グループに分けられないといけないのです。
正解は、
ACY:線対称になっていて、点対称ではない
NSZ:点対称になっていて、線対称ではない
HIO:線対称かつ点対称になっている
課題B: 次の9つのものを、その性質から3つずつ3グループに分けてください

さて、これはどうでしょうか?生き物と生き物でないもの、では2グループです。「飛ぶもの」が3つ見つかりますが、それ以外を分類するのに困りますね。
正解は、
課題C: 次の9つの数字を、3つずつ3グループに分けてください
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数字のけた数、入っている数字、いろいろ着眼点はありますが、これはただ単純に色で分類すればOKです。
以上のA~Cの課題はそれぞれ「A:NVCの課題」「B:NMCの課題」「C:NSCの課題」と呼びます。違うのはまん中の「V、M、S」だけで、
これが「領域=考える材料」を示しています。それぞれ、図形、概念、記号の課題です。
逆に、全部の課題で最初のNと最後のCは同じですね。これは、全ての課題で「所産=考えの性質」が「分類」であること、
「はたらき=考える方法」が「集中思考」であることを示しています。

例えば、図形は不得意だけれど概念は得意、という子はBの課題の時にぜひ頑張ってもらいましょう。 そうしているうちに「分類の集中思考」の知能が発達して来ますので、気がつけばそのうちに「NVC:図形の分類の集中思考」もできるようになって来るのです。

また「NVC」が苦手ならば、その前の段階である「DVC」をたくさん刺激することも大事です。
例えばAの課題を以下のように変えれば、「DVC:図形の分類の拡散思考」の課題になります。
アルファベットの形に注目して、3つずつのグループをたくさん作ってください
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・解答例
BDJ:直線と曲線でできている
AFH:3本の線でできている
その他、たくさん作れると思います。「集中思考」は、それまでに存在する条件を全て組み合わせて一つの結論を導き出す力ですから、
その前に「拡散思考」でたくさんの発想が生み出せれば自然に「集中思考」もできるようになって来るのです。
このように、不得意な因子そのものではなく、その周辺を鍛えると知らない間に不得意だったところも伸びて来ることを「知能の転移」と呼んでいます。
東洋医学で、一見患部とは関係のないツボを刺激すると、離れた患部が治癒するのによく似ていると思います。
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知能あそびの目的は知識の修得ではなく、脳細胞を刺激してシナプスの結合を増やすことです。
知能あそびにおいては、簡単に答が分かってしまう時よりも、「あーでもない、こーでもない」と散々悩んで、
それでも答が分からなかった時の方が刺激になっています。
例えば学習であれば、足し算が分からなければかけ算ができず、かけ算ができなければ割り算はできません。ですから、
それぞれのステップでまだできていないところをできるようにしておく必要があります。
しかし、知能あそびはそうではありません。前回できなかったのと同じ分野の教材に数カ月たってもう一度チャレンジすると、
今度はできるようになっていたりします。
知能あそびにおいては、子どもの答が正答でも誤答でも、同じように「どうしてそうなったの?」と尋ねます。
それが良く考えた末に出した答であるならば、例え間違っていても大いにほめます。ただし、問題のねらいから外れてしまっている場合には、
ねらっている知能の刺激が得られませんので、子どもの考えを一度認めた上で、「今度はこう考えてみよう」と課題のねらいに沿って
もう一度考えてもらいます。
こうして、常に挑戦意欲や達成感を大切にしながら、根気や集中力を養っているのです。
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Light Staffでは、年に1回知能テストを行っています。
最近2年間の平均値では、年少から年中にかけて、年少時平均「IQ=98」から年中時平均「IQ=120」に。
年中時から年長時へは、年中時平均「IQ=116」から年長時平均「IQ=123」へ上昇しています。
これは、年少時と年中時、または年中時と年長時に両方テストを受けた子の平均値です。それぞれのデータに含まれるメンバーが一部異なっているため、
年中時の平均IQに少し差があります。また、新入生は入室時のIQを前年度のIQとしています。
■ IQ = 知能年齢 ÷ 実年齢 × 100
上の数字は、
4歳の時に平均「IQ=98」つまり平均知能年齢3.9歳だった子が、5歳の時には平均「IQ=120」つまり平均知能年齢6歳になっていたこと。
5歳の時に平均「IQ=116」つまり平均知能年齢5.8歳だった子が、6歳の時には平均「IQ=120」つまり平均知能年齢7.2歳になっていたこと。
を示しています。つまり、年中の1年間で知能年齢が平均2.1歳のび、年長の1年間では平均1.4歳のびているということです。
しかし、知能テストで大事なことはIQの数字だけではありません。

知能テストの結果


知能テストの結果

これは実際の年少さんの知能テストの結果です。2人ともIQが106と103ですので、実年齢よりも少し高いぐらいの知能年齢を示しています。 しかしそれぞれのグラフを比較すると、全然形が違うことがお分かりいただけると思います。 このグラフからは、生徒Aは自立心が強く集中力が高い一方で、周囲の評価を気にしすぎる傾向があること。情報を一度加工してから出力する 「生産的能力」が高い一方で、単純処理の課題には少し不安があることがみてとれます。実際保護者の方とお話をすると、 自分が周りからどう評価されているかを気にする面が見受けられるし、それは親の態度に原因があると思うので、 もっとお子さんが自分を安心して出せるようにしたい、とおっしゃっていました。
また、生徒Bは単純処理の課題に強く、記憶力も良い。アイデアをどんどん出す力はあるが、それをまとめる力がまだ発達していない。 そして、注意力と集中力が育っていないことが分かります。この子の5つの「はたらき」の要素の中で、 判断力をつかさどる「評価」能力の数字が一番低いことは、過保護にされていることを予見させます。自分のことを自分で判断して実行する習慣がないために 、判断力・注意力が育っていなかったのです。これも保護者の方に大いに思い当たるふしがあるということで、今後の接し方の参考にされるとのことでした。

知能テストの結果

授業記録

今度は、同じ年中さんの生徒の知能テスト結果と授業での成績の記録です。
知能テストでの「はたらき」の項目が「M」字型なのに対して、授業での成績は「W」型になっているのがお分かりいただけると思います。
また、「領域」のグラフも正反対になっていますね。
これは、「記憶」と「集中思考」の能力が、本当は力があるのに授業では発揮されていないことを示しています。「記憶」の課題は、
「さあ覚えてください!」と言われた時に見ていなかったり聞いていなかったりしたら、後から頑張ってもできません。
また、「集中思考」の課題というのは、どこかつじつまが合わなければ何度でも考えを白紙に戻して考え続けなければならない考え方ですので、
非常に根気がいります。
知能テストでは、テスターと1対1で短時間にたくさんのテストを行いますので、他の生徒といっせいに40~50分かけて課題に取り組む授業の時とは違った
傾向になることがあります。この生徒の場合、テストの「態度」の数値で、「反応」が高くて「集中」が低いという結果が出ています。
また、授業の成績で「記号」の課題の成績が良いことと合わせても、「反射的に答を出す記号型の課題には強いが、じっくり考えないと解けないタイプの
課題には弱い」という傾向がみてとれます。
これらの傾向を指導者と保護者の方が共通認識として頭に入れて、授業やご家庭でテーマを持って接することができるようになるわけです。
なお、小学生用の知能テストについては従来実施していなかったのですが、平成18年度に希望者のみ。平成19年度に初めて全員に実施をいたしました。 今後は小学生も、模擬試験による学力の把握だけではなく、このような知能の観点からも傾向をつかんで指導に活かして行きたいと考えています。